福島第一原発事故を巡り福島県の住民が東京電力と国に損害賠償を求めた裁判の控訴審で、仙台高等裁判所は争点となっていた国の責任について一審同様に認めない判決を言い渡しました。
この裁判は、福島県双葉町などから宮城県などに避難してきた住民81人が、福島第一原発事故でふるさとを奪われたなどとして東電と国に5億5000万円あまりの損害賠償を求めているものです。一審の仙台地裁は2020年8月、東電の過失を認め、住民にあわせて1億4000万円余りの賠償金を支払うよう命じていました。一方で国の責任は認めず、控訴審では国の責任の有無が主な争点となっていました。
18日の判決で仙台高裁の瀬戸口壯夫裁判長は「原発事故の前には原子炉施設の浸水対策を必須とするのは一般的ではなかった」と指摘。「国が東電に対策を命じるまでの必然性があったとは言えない」などとして国の責任を認めず、原告らの国に対する控訴を棄却しました。一方で東電からの賠償額は一審判決から総額でおよそ1400万円増額しました。
原告団 石井優代表:
「国に関しては敗訴。私たちの力不足。この次に原発事故が起きたら司法は責任を取れるのかと、はらわたが煮えくり返る思い」
上告側の会見
原告側は国に対する控訴棄却を不服として上告する方針です。【東北放送】