いまも続く福島第一原発の廃炉作業。
その最難関と言われるのが燃料デブリの取り出しです。
その方法について先日、専門家が一つの方向性を示しました。
事故から13年。880トンにものぼる燃料デブリを今後どのように取り出し、廃炉につなげていくのか?
廃炉に携わる2人のキーマンを取材しました。
福島第一原発の1号機から3号機に、あわせて880トンあるとされる「燃料デブリ」。
高い放射線を放つため人が近づくことができず、取り出しは困難を極めています。
事故から最長で40年かかるとされる福島第一原発の廃炉。
その最難関とされる「燃料デブリ」の取り出しを今後どう進めていくのか、廃炉に携わる2人のキーマンに話を聞きました。
一人目は、前の原子力規制委員会委員長の更田豊志さんです。
2023年3月から燃料デブリ取り出しの工法を検討する専門家チームの委員長を務めています。
■燃料デブリ取り出し工法評価小委員会の更田豊志委員長
「小委員会では主に3つの工法について議論してきました」
1年ほどをかけ、3つの工法について評価を進めてきた専門家チームは、今回燃料デブリ取り出しに向けた一つの方向性を示しました。
■更田 豊志 委員長
「結論は技術が一番成熟しているとみられる『気中工法』を基本として、一部、『充填(固化)工法』のいいところを取り入れた工法を考えていこうと」
軸となるが空気中でロボットを使い遠隔操作で燃料デブリを取り出す「気中工法」です。
専門家チームは建屋全体を水で満たす「冠水工法」よりも早く取り出しに着手できると評価しました。
ただ、線量の高さという課題もあります。
そこで専門家チームは気中工法にコンクリートのような充填剤を流し込んで燃料デブリを固める「充填固化工法」を組み合わせることを提案しました。
■ 更田 豊志 委員長
「(燃料デブリ)全体をきれいに取ろうとすると、気中工法には少し工夫の余地がある。充填固化工法は一旦固めてしまうことで、例えば作業中に外から地震が来た時には現場が固めてあるわけですから、より安心に作業を進めることができるメリットがある」
今回、専門家チームが示した工法の提言に基づき、東京電力は具体的な設計に着手し、2030年代の大規模なデブリ取り出しに向けて検討を重ねています。
2人目のキーマンは原子力損害賠償・廃炉等支援機構=廃炉技術の研究や開発を提案するNDFの山名 元 理事長です。
今回の燃料デブリの取り出しに向けた工法の検討を次のように評価します。
■NDF 山名 元 理事長
「今回、更田委員長の下で本格的取り出し工法の一つの『基本となる方向性』が見えてきた、これは間違いない。これから大事なことは東京電力が主体的にこの工法についてしっかりとした設計を進めて、一部必要となってくる技術の開発、それを進めていくことがまず最初の一歩になると思う」
そのうえで、長い時間がかかる廃炉作業では地元との関わりも重要になってくると山名理事長は話します。
■ 山名 元 理事長
「でれきば私どもの廃炉作業と、地元の皆さんの将来の思いができるだけ整合していくように進んでいけたらいいなと、そういう意味で地元の皆様方から廃炉に対する理解をいただきたいし、場合によっては地元の企業に個の廃炉作業に仕事として参加してもらうことも、地元の復興においては非常に重要なのではないかと考えている」
【福島中央テレビ】