運転開始から40年を超える老朽原発として初めて2021年6月に再稼働した関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)をめぐり、地元住民らが関電に運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、大阪高裁は15日に決定を出すことを決めた。
仮処分を申し立てたのは、福井、京都、滋賀の住民ら。大阪地裁は22年12月、関電が新規制基準に沿って必要な特別点検を実施し、原子力規制委員会が運転延長を認めたことから「安全性に問題はない」と判断。申し立てを退け、住民側が大阪高裁に即時抗告した。
原発の運転期間は11年の東京電力福島第一原発事故を受けて「原則40年」のルールができた。だが、規制委が認可すれば最長60年に延長できる規定があり、美浜3号機にも適用された。さらに、23年5月成立の「GX脱炭素電源法」では、60年超の運転も可能となった。
住民側は即時抗告審で、1月1日に発生した能登半島地震を踏まえ、原発事故時の避難に対する懸念を改めて訴えた。原子力災害対策指針では、原発の5~30キロ圏内の住民は屋内退避と定めているが、「揺れの強い地震では家が押しつぶされる恐れがある。避難計画の想定は不十分だ」と指摘した。
仮処分は法的拘束力がただちに生じる。稼働中の原発の運転が差し止められた例は、関電高浜原発3、4号機(同県高浜町)に対する16年の大津地裁決定がある。【朝日新聞】