九州電力川内原子力発電所が立地する鹿児島県薩摩川内市は27日、九電と国、県の担当者を講師として招き、川内原発に関する市民セミナーを開いた。川内原発の運転延長を容認した経緯を説明したほか、国と県が原子力防災や原子力政策について説明した。
原子力規制庁の担当者は、九電による特別点検や劣化状況評価などを原子力規制委員会が審査し、基準に適合しているとして認可した経緯を説明した。
薩摩川内市の田中良二市長は、運転延長を容認した市議会の判断や規制委の認可、市民の意見などを総合的に判断して「容認を表明した」と、手続きを踏まえたことを強調した。
セミナーには市民約270人が参加した。1日に起きた能登半島地震で北陸電力志賀原発(石川県)の設備が被災したことから、地震関連の質問が相次いだ。
もし原発内で4メートルの隆起があったらどうなるのかという質問に対して、規制庁の職員は「詳細な断層調査をしており、重要な施設は安全機能を喪失しないような地盤の上にあることを確認している」と回答。隆起により冷却に使う海水の取水口が海水面を越える懸念について「その場合は代替手段としてポンプ車を使う」と答えた。
志賀原発の放射線モニタリングポストは約120地点にあるが一部でデータが取得できなかった問題については「主に通信の問題と思われる。代替措置として可搬型のものが使える」と回答した。
九電は川内原発の安全運転の取り組みについて話した。資源エネルギー庁が原子力政策について、内閣府と県は川内地域の原子力防災について説明した。
セミナーに参加した市内の元助産師の女性(76)は「電気は必要なので、運転延長には賛成」という。「きょうは避難の仕方について知ることができてよかった」と話した。
【朝日新聞】