東京電力福島第一原発事故後に福島県と宮城県から兵庫県内へ避難した31世帯84人が、東電と国に損害賠償を求めた訴訟の判決が3月21日に神戸地裁である。判決を前に原告団と弁護団が20日、訴訟の内容を市民に伝える集会を尼崎市で開いた。
提訴は2013年9月。放射能汚染の不安で平穏な生活を奪われたことなどに対し、計約7億3千万円の賠償を求めている。
全国で約30の同様の訴訟があり、兵庫の訴訟は「内部被曝(ひばく)」を中心的な争点に置いている点が特徴。原告らは内部被曝を懸念して避難区域外から避難した人が中心で、避難の合理的な根拠になると主張している。
この日は支援者など約100人が参加した。法廷での原告本人の尋問の再現があったほか、神戸出身の俳優、斉藤とも子さんが原告のメッセージを朗読。「地震と津波の被害だけなら地元にとどまっていた。なぜ今も神戸にいるのかと問われれば、被曝リスクに我が子をさらしたくないからです」などと読み上げた。
一昨年には、国の責任を認めない最高裁判決が出た。弁護団は「厳しい状況だが、なんとか国の責任を認めさせたい」と訴えた。【朝日新聞】