福井県原子力安全専門委員会が6日県庁で開かれ、関西電力が県内の原発の運転状況などについて説明した。出席した委員からは、安全性確保への取り組みを評価する声があった一方で、老朽原発の検査に向き合う関電の姿勢について「釈然としない」との指摘も出た。
関電は今年7月以降、運転開始から50年近くたつ高浜発電所1、2号機(高浜町)を再稼働させた。今月2日には来年11月以降、1号機が50年を超えて運転を続けられるように原子炉施設保安規定の変更を原子力規制委員会に申請した。
関電は、再稼働に向けた点検作業の結果や海外の40年超原発の情報収集の状況などについて報告し、委員から質問を受けた。
このうち、名古屋大大学院教授の山本章夫委員は、原子炉の金属が中性子を浴びてもろくなる「中性子照射脆化(ぜいか)」について関電が行った調査内容の決定プロセスについて質問した。関電側は「廃止措置にかかる一つの調査として残存放射能を測るのが目的。結果的にミクロ組織の観察を行った」などと説明した。
これに対して、山本委員は調査方法には多くの種類があり、さまざまな調査が可能だと指摘。調査項目を設定するうえで有識者の助言も求めていないことを関電が明らかにすると、「新たな知見を積極的に探しに行く姿勢が重要なのに、受け身だ。高経年化に関する取り組みを積極的にしてほしい」と述べた。
会合後に報道陣の取材に応じた鞍谷文保委員長は、古い原発に関する知見の獲得について「関電が今後どのように取り組んでいくか今後の委員会でもみていく」と話した。【朝日新聞】