東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力容器を支える鉄筋コンクリート製の土台の損傷について、原子力規制委員会は11日の定例会合で、圧力容器の落下などで建屋外に放射性物質が飛散した場合でも、周辺環境に大きな影響は与えないと判断した。東電の予測や規制委事務局の試算結果を了承した。
◆3月に圧力容器の土台が損傷しているのが見つかり調査
東電の予測は、圧力容器(重さ約440トン)が落下して外側の格納容器に穴が開き密閉できなくなる最悪の事態でも、発電所の敷地周辺での被ばく線量は0.04ミリシーベルトと推計。関係法令で定める事故時の被ばく線量の基準(5ミリシーベルト)を下回り影響は小さいとした。
一方、規制委事務局はより厳しい事態を想定し、大きな地震で格納容器が揺れ、建屋に衝突した場合の影響を試算。厚さ2メートルの鉄筋コンクリートの壁に穴が開くことはなく、大量の放射性物質が外部に漏れることはないと結論付けた。
東電は土台は耐震性を維持していると主張するが、規制委は「仮定に基づく評価には限界がある」と指摘。1号機建屋の状況把握を進めるため、上層階への地震計の設置を求めた。
規制委の山中伸介委員長は会合後の記者会見で、「不確かな部分は多いが、極端な地震を想定しても建屋に大きな影響は出ない」と説明した。
1号機は3月のロボット調査で、核燃料があった圧力容器を支える円筒形の土台(厚さ1.2メートル)の内壁が全周にわたって損傷していることが判明。規制委が東電に、圧力容器落下時の影響を調べるよう指示していた。
【東京新聞】