関西電力は15日、高浜原発2号機(福井県高浜町、82・6万キロワット)の原子炉を起動し、平成23年11月に定期検査入りして以来、約12年ぶりに稼働させた。平成23年の東京電力福島第1原発事故後、再稼働した原発は12基となった。来年2月に東日本初となる東北電力女川原発2号機、同年8月には中国電力島根原発2号機の再稼働も控えている。原発再稼働が進めば、使用済み核燃料の発生が増える。中間貯蔵施設の確保や使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の早期具体化が今後の課題となっている。
「(核燃料サイクルの)選択肢が広がることは非常に重要だ」。電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は15日の記者会見で、山口県上関町の中間貯蔵施設建設の検討に向けた調査受け入れの意義を強調した。
経済産業省などによると、3月末時点で国内の原発の貯蔵プールなどで一時保管されている使用済み核燃料は1万9478トン。管理可能な容量は2万4350トンで8割程度が使用されている。状況に差があるが、数年で満杯になるとされる原発もある。使用済み核燃料の一時保管が困難となれば、原発は運転停止に追い込まれ、電力の安定供給にも影響が及ぶ。
岸田文雄政権が掲げる原発の最大限の活用には、使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設の確保に加え、青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場の完成と早期稼働が不可欠だ。
特に再処理工場はフル稼働すれば、年800トンの使用済み核燃料を処理できる。ただ、平成9年の完成予定は26回にわたり延期。日本原燃は「令和6年度上期の早い時期」の完成を目指すとするが、不透明感は拭いきれない。
原発再稼働が進む中、原子力政策の基本となる「核燃料サイクル」の早期具体化にも関係者が連携し、総力を挙げる必要がある。【産経新聞】