原発で出た使用済みの核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」の建設に向けた調査をめぐる問題。
中国電力から建設の提案のあった上関町議会は、18日に臨時議会を開き、調査容認の考えを町の民意として、その日のうちに中国電力へ伝える予定です。
山本恵里伽キャスター:
瀬戸内海の最後の楽園、奇跡の海とも呼ばれている山口県・上関町です。山口県の最南端に位置し、人口は2000人ほどの小さな町です。
小川彩佳キャスター:
私も取材で行ったことがありますが、とても風光明媚で穏やかな美しい場所でした。今、この街を2分する問題が起きています。
記者
「中国電力の役場訪問を阻止しています。中間貯蔵施設に対する反対への強い意志を示しています」
小川キャスター:
ことの発端は、8月2日に中国電力が上関町に対し、核のゴミの中間貯蔵施設の設置に向けた調査を行いたいと申し入れ、反対運動も起きています。
着工から30年経つも未完成 「中間貯蔵施設」とは?
山本キャスター:
中間貯蔵施設とは何なのでしょうか?
原子力発電所で電力を作ると、核のゴミが出ます。本来は再処理工場で処理して、再利用するはずですが、実は再処理工場は着工から30年経った現在も完成していません。行き場を失った核のゴミは原発の敷地内などでとりあえず保管されているという状況です。
ただ、使用済み核燃料の貯蔵状況は容量に対して、既に77%。8割に迫っています。そこで名前が浮上したのが、上関町ということなんですが、その背景には、政府の原発再稼働の方針があるようです。
2022年8月 岸田総理
「設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応をとってまいります。再エネや原子力はGX(グリーントランスフォーメーション)を進める上で不可欠な脱炭素エネルギーです」
山本キャスター:
福島第1原発の事故を受け、止まっていた原発の再稼働に大きく舵を切った岸田政権ですけれども、一方で再稼働をするということは、核のゴミがさらに増えていく、この容量をさらに逼迫することが目に見えているわけです。そのために、中間貯蔵施設の建設が喫緊の課題というわけです。
小川キャスター:
突然言われた課題ではなくて、福島原発の事故の前から中間貯蔵施設の議論を進めていくべきだったはずですよね。
朝日新聞ウェブサイト「telling,」柏木友紀編集長:
福島の原発事故から12年経ちますが、その間に原子力発電所を動かすということは、必ず使用済みの核燃料が出るので、その出口をどうするか、ゴミの問題をどうするかという問題を先送りして、根本的な解決を見ないまま、またスタートしてしまうということ。この12年間の間に何ができたのか、できなかったのかそこを考えないといけないと思います。
【TBS】