中国電力(広島市)が原子力発電所の使用済み核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」を関西電力(大阪市)と共同で建設するため、山口県 上関かみのせき 町に申し入れた地質などの調査を巡り、西哲夫町長は18日、受け入れを表明した。町議会臨時会閉会直後、「中国電力からの申し入れを受ける。建設と調査は別問題」などと述べた。中国電の申し入れから16日で町は結論を出した。
臨時会は、受け入れに反対する町民ら約100人が町役場前に詰めかける中、午前9時に開会した。議決が必要ない行政報告の形が取られ、質疑や採決は行われなかった。
西町長が冒頭、「(東京電力)福島第一原発の事故から12年、町は急速に疲弊が進んでいる。私としては調査を受け入れる考えだ」と自らの考えを示した。その後、議長を含む10人が賛否についての意見を述べ、賛成7人、反対3人となり、賛成意見が過半数だった。
閉会後、町は中国電に対し、ファクスで申し入れを受け入れる旨を伝えた。
上関町では原発2基の建設計画があるが、2011年の東京電力福島第一原発事故の影響で準備工事が中断。町が今年2月、中国電に新たな地域振興策の検討を求めたのに対し、中国電は今月2日、回答として中間貯蔵施設の設置案を示していた。
関係者によると、中国電と関電は早ければ年内にも、中断している原発建設用地に近い中国電の敷地内で、ボーリング調査などを実施する。半年程度かかる見通しで、中間貯蔵施設の設置が可能と判断すれば、具体的な建設計画を町に報告する予定だ。中国電の関係者は「長期間にわたることも覚悟しないといけない」と話す。建設が完了し、稼働するまでには数年かかる可能性があるという。
中間貯蔵施設は、使用済み核燃料を金属製収容容器に入れて一時保管する施設。調査段階から対象自治体に国の交付金が出る。調査中は最大年1億4000万円が、知事が設置に同意すれば2年間で最大約20億円が交付される。建設段階、稼働後も交付される。
上関町で施設の建設が進めば、青森県むつ市に続き、全国2か所目となる。【読売新聞】