関西電力は28日、運転開始から48年を超えて国内で最も古い高浜原発1号機(福井県高浜町、82・6万キロワット)を再稼働させた。40年超原発の2号機(同)も9月中旬に再稼働される見通しで、いずれも2011年に定期検査に入って以来12年ぶりの運転再開になる。
原発の活用を巡っては5月、60年超の運転を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」が成立。政府は、東京電力福島第1原発事故後に導入された「原則40年、最長60年」とする運転期間の制限を緩めた。高浜1号機は国内初の60年超原発になる可能性がある。
関電によると、この日午後に1号機の原子炉を起動させ、8月2日に発電と送電を開始。同28日から本格運転を始める計画を立てている。2号機も予定通り9月中旬に運転を再開できれば、廃炉中を除く関電保有の全7基が稼働することになる。
1号機は2号機より1年早い1974年11月に運転を開始した。11年1月に定期検査で停止。原子力規制委員会が16年に40年超運転を認可し、21年に地元の福井県と高浜町が再稼働に同意していた。
関電は23年6月初旬の再稼働を目指していたが、規制委に火災対策工事の不備を指摘され、運転再開を延期していた。
国内では高浜1、2号機のほか、関電の美浜原発3号機(福井県美浜町)と日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)も40年超運転の認可を受けているが、これまで再稼働したのは美浜3号機のみだった。
一方で、関電は使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」について、福井県と約束している候補地を示していない。6月には、保有する使用済み核燃料の約5%にあたる200トンをフランスに搬出する計画を発表したが、根本的な解決には至っていない。今回の再稼働で一時保管される使用済み核燃料はさらに増えることになる。
福井知事「最大限の注意を」
福井県の杉本達治知事は「関電は最大限の注意を払い、これまで以上に慎重かつ安全な運転に努め、原子力に対する県民の信頼を得ていかなければならない。県としても、引き続き厳格に監視していく」とのコメントを発表した。【毎日新聞】