敦賀市の米沢光治市長は、就任後初めて日本原子力発電や日本原子力研究開発機構の原発施設を視察した。東京電力福島第一原発事故後、原発の新規建設を認める国の方針転換がある中で、敦賀原発3、4号機の建設予定地の視察後、「国、事業者、メーカーで早く話を具体化し、スケジュールや設計などを明確にしてほしい」と述べた。
15、16日に視察した。敦賀3、4号機はそれぞれ国内最大級の出力153・8万キロワットの改良型加圧水型炉。原電は2004年に建設に向けた原子炉設置変更許可を国に申請。海面を埋め立てるなど約27万平方メートルの敷地を造成した。
一方、福島事故の影響で、原発の新増設を想定しない国のエネルギー基本計画や、敦賀2号機の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査を優先するなどした影響で、3、4号機の建設に向けた動きは15年以降は中断している。
建設予定地で、米沢市長は、国が開発を検討する「次世代革新炉」の場合、現在の造成地で対応できるのかなど原電の担当者に聞いていた。
原電の村松衛社長は「次世代炉については、国の明確な要件が決まっていないが、様々なケースに備えて準備を進めたい」と話した。
また、資料の不備で審査が再び中断している敦賀2号機について、米沢市長は「しっかり8月末に審査資料の準備を進めて」と村松社長に求めたといい、村松氏は「私がリーダーシップをとって取り組んでいく」と応じたという。
原子力機構の施設も訪れ、廃炉作業中の高速増殖原型炉「もんじゅ」の敷地に設置する新試験研究炉の候補地や、廃炉作業などで原発から出る廃棄物のうち、放射性物質の汚染レベルが極めて低い「クリアランス物」の保管倉庫を視察した。
視察を終えた米沢市長は、原子力が市にとって主要産業との位置づけを示したうえで、「敦賀には将来的には試験研究炉、敦賀3、4号の話がある一方で、クリアランスなど原発の後処理の話もある。行政として一つひとつ、しっかり押さえ、関わっていきたい」と話した。【朝日新聞】