大手電力会社の送配電部門を資本ごと切り離す「所有権分離」について、政府が近くまとめる「規制改革実施計画」で、「必要性や妥当性」を検討する方針が盛り込まれる見通しとなった。所有権分離は内閣府の有識者会議が求めていたが、計画では「短所」も含めて検討することから、実現は困難とみられる。
所有権分離は、河野太郎消費者相に近い内閣府の有識者会議「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(TF)」が3月に提言した。昨年12月以来、大手電力の社員らが競合する新電力の顧客情報を不正に見ていた問題が次々に発覚。大手10社中7社が関与し、関西電力は顧客の引き抜きに使っていたことから、TFは防止策の切り札としていた。
一方、大手電力と経済産業省は、各社の販売部門と送配電子会社が共有しているシステムを遮断する「物理分割」を提案した。