東京電力が柏崎刈羽原発でのテロ対策不備を受け、再発防止策を検証するために設置した核セキュリティー専門家評価委員会(委員長=板橋功・公共政策調査会研究センター長)が5~6日、同原発の現地調査に入った。調査後の記者会見で板橋委員長は、再発防止策について「持続可能にする問題は今後も考えていなければならない」と指摘した。
原子力規制委員会は5月、継続を決めた追加検査の対象4項目の一つに「一過性のものとしない取り組みの実践」を挙げた。評価委も1月にまとめた2回目の報告書で、「いかに持続可能な対応にするかを考える時期に来ている」とし、継続性が課題との認識を示していた。
板橋委員長は会見で、侵入検知器の「不要警報」などは改善されていると評価しつつ、1月の報告時に続き、「核セキュリティー部門に予算と人員を投入したことで、他部門にひずみが生じる可能性がある」との懸念を改めて示した。そのうえで、「持続可能にするには、核セキュリティーを文化として根付かせるに尽きる。テロ対策不備が明らかになった当時は、その文化がなかった。今は土台ができてきたというところだ」と述べた。
また、社員が無許可で内部資料を持ち出し紛失した問題は、「核セキュリティーの問題ではない」とした。一方で、稲垣武之所長に「一歩ずつ進んでいてもこのようなことが起こるとマイナスのイメージになる」と伝え、再発防止を求めたことを明らかにした。【朝日新聞】