福島第一原発の処理水についてです。
夏ごろとされる海への放出が近づくなか、安全性の発信はもちろん、漁業者の理解を得られるかが大きな課題となっています。
そうしたなか、福島県内の漁業関係者が西村経済産業大臣と面会しました。
福島第一原発にたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む「処理水」。
政府はこの処理水を安全な基準に薄めたうえで、夏ごろにも海へ放出する方針です。
処理水は沖合およそ1キロ先から放出される計画ですが、放出に使う海底トンネルは掘削が終わり、そのトンネル内を海水で満たすなど工事も大詰めを迎えています。
6月末にも放出設備の設置が完了する見込みです。
処理水の放出をめぐっては国際原子力機関=IAEAが安全性の確認などを進めていて、調査結果をまとめた報告書が、近く公表される予定です。
一方で課題となっているのが理解の醸成です。
政府は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」としています
が、漁業関係者を中心に根強い反対の声があります。
こうした中、6月7日に相馬双葉漁協の関係者が経済産業省を訪れ、西村大臣と面会しました。
■西村康稔経済産業大臣
「是非、皆様のご不安を払しょくできるように、福島の魅力ある漁業が継続できるように、私も全力で取り組んでいきたい」
会談の中で相馬双葉漁協の今野組合長は「理解なしにいかなる処分も行わないとした約束はどうなっているのか」、「風評により水揚げと流通に悪影響が生じたら、我々の生活はどうなるのか」など漁業者の声を伝えました。
■相馬双葉漁業協同組合 今野智光組合長
「処理水の海洋放出方針に関して、組合員の強い懸念を直接お伝えしました。海洋放出について組合は強く反対しています。」
処理水の放出開始が迫る中、果たして関係者の理解を得ることはできるのか。
国と東京電力には万全の風評対策など、より丁寧な説明が求められています。【福島中央テレビ】