東京電力福島第1原発から出る処理水の海洋放出を巡り、原子力規制委員会は10日、放出時の放射性物質の基準値などを盛り込んだ東電の運用計画を正式認可した。放出に用いる海底トンネルなどの設備工事は6月末までに完了する見込み。政府と東電は「今年春から夏ごろ」の放出開始を目指すが、漁業関係者らの反発は依然根強く、どのように理解を得るかが課題だ。
規制委は今年2月、海洋放出時に測定する放射性物質の種類(核種)や、基準値などを定めた東電の計画を妥当とする審査書案を了承し、意見公募を実施。105件の意見が寄せられたが、内容に反映されたものはなかった。
計画では処理水に含まれるトリチウムのほかに、セシウム137やプルトニウム239など29核種を測定対象に選定。放出前に濃度が基準未満になっているかを確認する。また、廃炉作業の進展に応じて、測定対象核種が適切かどうか、定期的に確認することとした。
福島第1原発では、溶け落ちた核燃料の冷却などで発生する汚染水を浄化装置に通し、放射性物質を除去している。ただ、水と化学的性質が似るトリチウムは除去できないため、処理水として原発構内のタンクで保管。東電は4月、タンクが満杯になる時期が、2024年2~6月ごろになるとの見通しを示した。【時事通信】