国が経済産業省令を改正し、大手電力会社の送配電線の利用料「託送料金」に東京電力福島第1原発事故の賠償費用や原発の廃炉費用の上乗せを認めたのは違法だとして、小売電気事業者の一般社団法人「グリーンコープでんき」(福岡市)が国に対して、料金変更の認可決定を取り消すよう求めた行政訴訟の判決で、福岡地裁(林史高裁判長)は22日、請求を棄却した。
原告は太陽光などの発電を手がける新電力事業者で、自前の送配電網がないため、九州電力グループの送配電線を使用して託送料金を支払っている。国は2017年に省令を改正し、九電の送配電会社に対しても20年に上乗せを認可した。原告側はこれが電気事業法の範囲を超えており、違法だと主張していた。
林裁判長は判決で、「電気事業法の立法過程の議論などを踏まえると、公益的課題に要する費用を託送料金として回収することは、同法の趣旨の範囲内」としたうえで、原発事故の賠償費や廃炉費は「電気の全需要家が公平に負担すべき公益的課題に要する費用」と判断。上乗せを認めた国の決定は「経産相の裁量権の範囲を逸脱するものではない」とした。
判決後に記者会見した原告側の小島延夫弁護士は「国の主張をなぞっただけで問題が多く、極めて残念」と判決を批判し、「控訴する方向で検討する」と話した。【平塚雄太】
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野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は22日、日本の優勝で幕を閉じた。投打で活躍した大谷翔平選手=エンゼルス=と小中高時代に同じチームでバッテリーを組み、現在は北海道室蘭市の社会人野球チームに所属する佐々木大樹さん(30)は「マイク・トラウト選手(エンゼルス)から三振を奪って優勝を決めて、本当にすごい」と北海道から祝福した。
佐々木さんは開幕前の2月下旬、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で大谷選手に「WBC、頑張って」とメッセージを送ると「ありがとうございます。頑張ります」と返信があった。東海大野球部の同級生でWBC日本代表の大城卓三捕手=巨人=からは電話で「やっぱり大谷はすごい。バッティングの飛距離やパワーが桁違いだ」という話を聞き、大谷選手がWBCで活躍することを期待しながら開幕を待ち望んだ。
日本代表は順調に勝ち進み、3月22日(日本時間)に決勝を迎えた。大谷選手は決勝の試合前、円陣で声出しを担当。「ぼくらは(米国チームを)超えるため、トップになるために来た。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。さあ行こう」と鼓舞し、士気を高めた。
佐々木さんは「翔平は昔から負けず嫌いで、常に一番を目指していた」と振り返る。例えば、先輩の佐々木さんが試合で2安打を放つと、大谷選手は3安打を目指した。日々の小さなことでも、大谷選手は自分が立てた目標を達成できなければ、いつも悔しそうにしていた。「野球少年の負けず嫌いの心を、世界の舞台でも貫いている」と感心した。
佐々木さんは今、社会人野球「日本製鉄室蘭シャークス」でプレーする。かつての「球友」がWBCで優勝した姿を見て「翔平は世界の舞台でも、あのころと変わらず野球を心から楽しんでいる。自分ももっと野球を楽しみたい。刺激を受けたので、今年の都市対抗で活躍できるように頑張りたい」と意気込んだ。【毎日新聞】