東京電力福島第1原発事故から12年を迎えるのを前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表が2日までに、オンラインで時事通信のインタビューに応じた。次の1年は溶け落ちた核燃料(デブリ)の2号機からの取り出しや、処理水の海洋放出が見込まれており、「ものすごく重い、大事な1年だ」として、処理水放出に向けた情報発信や関係者の理解醸成を促進する取り組みを続ける考えを示した。
主なやりとりは次の通り。
―次の1年はどのようになるか
廃炉の円滑な進捗(しんちょく)のために、タンクで保管している処理水の処分はしっかり進めないといけない。また、デブリの試験的な取り出しも、将来の本格的な作業に向けて知見を集めることになる。ものすごく重い、大事な1年だと思う。
―処理水の性質など、情報の伝え方も重要になる
多くの人に理解を深めてもらうため、どういう設備を造っているかや風評を抑制する取り組みなどを、相手の懸念も聞きながら説明している。海洋生物の飼育日誌を公開するなど、科学的根拠があって分かりやすい情報発信に努めている。
―放出に対する関係者の理解は深まったと思うか
安全性についての情報公開が足りないとか、風評の影響が心配などの声がある。「理解」とは非常に難しい言葉で、一人一人で受け止め方も変わる。理解を深めてもらう活動を継続するしかない。
―2号機のデブリ取り出し準備の状況は
取り出し装置や現場で見つかった課題の改善を繰り返してきた。今後は装置を操作する人間の技量向上も大事になってくる。2023年度後半(の開始)を目指して作業を進めている。【時事通信】