東京電力は3日、2030年ごろまでに福島第1原発で廃炉工程上必要な敷地を確保するには、40万トン程度の処理水を海洋放出しなければならないとの試算を発表した。東電は第1原発の敷地利用計画で、30年ごろまでに約5万~約11万平方メートルの空きが必要になるとしており、流した処理水分の保管タンクを撤去して廃炉施設を整備する。
福島市で開かれた原発廃炉に関する安全確保県民会議の席上、出席者からの質問に明らかにした。東電によると、第1原発ではタンク1066基を建設し、処理水約132万トンを保管している。40万トンは1000トンを保管するタンク400基分に当たり、敷地にあるタンクの4割程度に相当する。
第1原発では、地下水が原子炉建屋に流入するなどして1日当たり100トン程度の汚染水も発生している。東電は汚染水の発生量も含めて30年ごろまでの放出量を試算。汚染水については28年度までに1日当たり50~70トンまで減らすとの見通しを示している。
空いた敷地には、原子炉建屋から取り出した溶融核燃料(デブリ)を保管する施設を建設することなどを検討している。
会議では、処理水の理解醸成に向けた広報の在り方について国や東電への注文が出た。県民や各種団体の代表は、中学生など若年層をはじめとした幅広い層への分かりやすい説明を求めた。処理水に関する勉強会の開催や学校教育への組み入れなどの提案もあった。【福島民友新聞】