ロイター通信によると、ウクライナのエネルギー相は20日、地元メディアに対し、ロシア軍が占拠を続ける南部ザポリージャ原子力発電所について、「状況が確実に悪化している」と述べ、設備劣化などの問題を指摘した。ロシア軍は、東部ドネツク州北部の要衝バフムト近郊とザポリージャで攻撃を強めており、原発の安全が懸念されている。
ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは20日、一方的に原発を占拠したロシア側によって、安全基準が守られず、「設備の劣化が徐々に進んでいる」と明らかにした。施設に残っている約1500人の原発職員も精神状態が悪化し、ロシア側への協力を拒んでいるという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、ウクライナを訪れた国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長と会談。グロッシ氏は20日の声明で、ザポリージャ原発一帯で武力攻撃を控える「安全保護地帯」の設置に向け、ロシアとウクライナ双方と協議を続ける意思を強調した。
ゼレンスキー氏は、露軍によるインフラ(社会基盤)施設への攻撃が続いているとして、原発への攻撃を停止するよう求めている。【読売新聞】