滋賀県の住民ら57人が福井県の関西電力大飯、高浜、美浜3原発7基の運転差し止めを求めた訴訟の第33回口頭弁論が2日、大津地裁(堀部亮一裁判長)で開かれ、9月1日の次回弁論で、東京電力福島第1原発の事故後、福島県浪江町から兵庫県に避難している女性の証人尋問が決まった。
会見で原告側弁護団は「受けた被害を語ってもらい、原発事故が絶対にあってはならないものだと裁判官に認識してもらう」と期待を込めた。専門家ら4人の証人も申請しており、堀部裁判長は全員採用する意向を示したという。
この日の弁論で原告側は、ロシアがウクライナの原子力施設を攻撃したことに言及し、「テロや武力攻撃は現実的な脅威となっている。武力攻撃を想定していない新規制基準は不合理だ」と主張した。
滋賀県内の自治体が実効性のある避難計画を策定できていないという原告側の主張に対し、関電側は「避難計画の不備だけでは運転差し止めの理由にならない」と反論した。原告側は、5月31日の札幌地裁判決が避難計画の不備に触れ、北海道電力泊原発1~3号機の運転差し止めを命じたことを主張に盛り込む方針を示した。【京都新聞】