福島第一原子力発電所にたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、東京電力は基準を下回る濃度に薄めたうえで海に流すために新設する海底トンネルの出口部分の整備工事に着手しました。
東京電力は福島第一原発にたまる処理水の海への放出に向けて、原発の沖合およそ1キロにわたる海底トンネルを新設する計画で、25日午前7時から、出口部分にあたる放水口の整備工事を始めたと発表しました。
25日は海上に工事区域を示す標識を4か所設けたほか、港湾内の3か所に作業用の船を係留するためのおもりを設置したということです。
また27日に開始予定だった、放水口の海底をおよそ11メートル掘り下げて底をならす作業については、天候不良が予想されるため計画を変更し、今月29日から始めるということです。
海洋放出に向けて東京電力は現在、5号機、6号機の東側で事前に処理水をためておく「立て坑」と呼ばれる設備を整備していますが、海側の工事は今回が初めてです。
東京電力は原子力規制委員会から計画が認可され、地元の同意が得られれば、ことし6月ごろからトンネル本体の建設など本格的な工事を始めたいとしていますが、漁業者を中心に風評被害を懸念する声が根強く、政府と東京電力が関係者の理解をどう得ていくかが課題です。
【NHK】