2011年3月12日福島中央テレビは、福島第一原発の水素爆発事故の瞬間をメディアとして唯一撮影した。
この一報を伝えたのが、大橋聡子アナ。
大橋アナは、「福島の今を伝えるアナウンサーとして、福島第一原発の取材をしたい」と考えていたが、自身の出産や育休などもあり、これまで取材が叶わなかったが、震災と原発事故から11年が経ったこの3月に取材が実現した。
向かったのは福島第一原発3号機。
11年前に水素爆発を起こし、周辺には汚染されたガレキなどが散乱した場所だ。
原子炉建屋に入るためには、防護服に全面マスクの着用が必要になる。
地上40メートルほどにある最上階へ向かう。この位置にたどり着くと、高さおよそ18メートルのカバーが目に入る。
その内部について、福島第一原発の廃炉などを所管する経済産業省の木野正登参事官は、「こちらが3号機の原子炉建屋の一番上になる。使用済み燃料プールに入っている566体の燃料の取り出しが完了している。」と説明する。
爆発直後、フロアを覆ったガレキは、2年ほどで撤去され、除染や使用済み燃料の取り出しも終わっていた。
そして、最大の難関とされるのが、溶け落ちた核燃料「デブリ」の取り出し。
3号機では、デブリとみられる堆積物がすでに確認されているが、取り出しには多くの時間がかかるとされる。
その理由を知るため、事故を起こした3号機の原子炉と同じ型の5号機の格納容器の中に向かった。
この5号機を参考に、3号機デブリ取り出しの検討が進められている。
鍵となるのが、デブリがある内部と格納容器の中へ直線的に通じる貫通部分。
実は3号機だけ、その高さまで水が溜まっているのだ。
経済産業省の木野正登参事官は、「このあたりまで水が溜まっているものだから、格納容器の中から水を抜く作業は、かなり大変。色んな工事をしないといけないし、3号機の建物の中も線量が非常に高いので、線量に気を付けながらやっていかないといけない。」と話す。
さらに、3号機用専用の機器の開発も必要になるとのことで、取り出し開始の見通しは立っていない。
今回の取材を終え、大橋アナは、「被ばくが心配だったが、外部被ばくの測定と内部被ばくの検査もやっていて、取材する上では安全だと感じた。建屋の最上部や周辺もガレキの撤去や除染が進んでいて、着実に前に進んでいるという感じがした。」と振り返った。【福島中央テレビ】