福島第一原子力発電所の事故で愛媛県に避難した人たちが起こした集団訴訟で、東京電力の賠償が確定したことを受けて弁護団が会見を開き、「被害者救済へ弾みとなる」とした上で、引き続き国の責任が認められるよう全力を尽くすと述べました。
原発事故のあと愛媛県に避難した人が国と東京電力に賠償を求めている裁判で、最高裁判所は東京電力に関する上告を退ける決定をし、東京電力の敗訴が確定しました。
原告の弁護団は1日会見を開き、「一律の賠償を命じた高裁の判断枠組みが最高裁でも維持された。被害者全体の救済へ弾みとなる」とする見解を示しました。
また最高裁は国の責任について、5月に双方の主張を聞く弁論を開くことも決めていて、各地の訴訟と合わせてこの夏にも統一的な判断を示すとみられます。
これについて野垣康之弁護士は「最高裁の統一的な判断が夏に示されるので国の責任が認められるよう引き続き全力を尽くす」と述べました。
原告の渡部寛志さんは「多くの被害者に心の傷があり納得できない。国の責任が確定すれば具体的な救済につながる」と話しました。
弁護団は今後、愛媛県に避難して裁判に加わっていない人にも同様の賠償をするよう、東京電力に申し入れを行う予定にしていて、今後は国の責任と合わせて被害者の救済がどこまで進むかが注目されます。【NHK】