福島第一原子力発電所の事故で各地に避難した住民などが起こした集団訴訟で、国の基準を上回る賠償を東京電力に命じた判決が確定したことを受けて、原告団と弁護団が、31日、東京電力の担当者と面会し、新たな賠償基準の策定や被災者全体の救済などを要請しました。
原発事故で避難した人などによるおよそ30件の集団訴訟のうち、最高裁判所は、これまでに7件の訴訟で東京電力に関する上告を退け、東京電力の賠償責任と国の基準を上回る賠償額が確定しています。
31日、このうち、福島、群馬、千葉の3件の訴訟の原告団と弁護団が東京電力の担当者と面会し、要求書を手渡しました。
この中では、安全確保を怠ったことの責任を認め原告らに真摯な謝罪をすることや新たな基準を策定し、原告だけでなく被災者全員に賠償を行うことなどを求めています。
3件の訴訟では、4月、国の責任について双方の主張を聞く弁論が最高裁判所で開かれることになっていて、弁護団によりますと、31日の意見交換の場で東京電力側は、国の責任に関する判断が確定したあとに回答するという考えを示したということです。
福島の訴訟の弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「賠償金を払えば責任を果たしたということではない。原子力事業者として、将来に向けて姿勢がどう変わるのか注目したい」と話していました。【NHK】