原子力規制委員会の更田豊志委員長は2日の定例会合で、東京電力福島第一原発で発生する放射能汚染の程度が比較的低いコンクリートがれきなどの廃棄物について、「一時的に地中に埋設保管するやり方を検討してほしい」と述べた。今後、具体的な方法を検討するよう東電に求める方針。
原発構内に野積みされている廃棄物が入ったコンテナ=2022年1月25日、東京電力福島第一原発で(本社ヘリから撮影)
原発構内に野積みされている廃棄物が入ったコンテナ=2022年1月25日、東京電力福島第一原発で(本社ヘリから撮影)
福島第一では、がれき類は金属コンテナに入れて屋外に積み重ねて保管している。東電と政府の計画では廃炉までに事故から30~40年かかるとしており、今後原子炉建屋解体などで多くのがれきが発生する。
更田氏は会合後の記者会見で、「野積みにするとコンテナが腐食して損傷し、好ましくない。管理する労力も膨大で、廃炉作業への大きな障壁になる」と現状の問題点を指摘。将来的にがれきを他の場所に移すことを前提とし、地下埋設など別の保管方法の検討が必要という認識を示した。
事故収束作業が続く東京電力福島第一原発=2022年1月25日(本社ヘリから撮影)
事故収束作業が続く東京電力福島第一原発=2022年1月25日(本社ヘリから撮影)
廃棄物の地下保管を巡っては、2013年4月に地面を掘って遮水シートで覆った地下貯水池で、推定120トンの汚染水が地中に漏出。この事故後、地下貯水池は使われなくなった。
更田氏は会見で、埋設保管の妥当性を問われ「地元の心理的な抵抗は当然あるだろうし、大変難しい問題。それでも、地上への仮置きを続けるのは現実的ではない」と述べた。
東電の広報担当者は取材に、「今後、規制委との協議の中で確認をしていきたい」と話した。【東京新聞】