原子力発電所での事故の際、甲状腺の被ばくを抑えるために服用する安定ヨウ素剤について、県は、原発からおおむね5キロ圏内の住民だけでなく、30キロ圏内にあたる嶺南地域の一部の住民にも、早ければことしの夏から事前配布を始める方針を固めました。
安定ヨウ素剤は、原発などで事故が起きた場合に甲状腺の被ばくを抑えるために服用する薬で、原発からおおむね5キロ圏内の住民に事前に配布することや、5キロから30キロ圏内の住民でも、避難する際に受け取ることが困難とされる場合は自治体の判断で事前に配布できると国は指針で定めています。
これについて、県は、原発事故の際に避難が必要となる可能性があるおおむね30キロ圏内の住民にも速やかに服用できるように、事前の配布を始める方針を固めたことがわかりました。
関係者によりますと、県は地元の市や町のほか、県薬剤師会と調整した上で、協力が得られた嶺南地域の薬局を通じて、早ければことしの夏にも住民への事前配布を始めるということです。
対象は、原発から30キロ圏内にあたる嶺南地域の6つの市と町に住む12歳以下の子どもと妊娠している人、障害や病気のある人のほか、これらの人たちと同居する家族で、希望する人に配る方向で調整しています。
ただ、安定ヨウ素剤の服用にあたっては、甲状腺の機能が低下したりアレルギー反応が出たりする副作用のおそれもあり、住民への十分な説明が課題となりそうです。【NHK】