福島第一原子力発電所でたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、原子力規制委員会は24日、東京電力が申請した海洋放出に向けた実施計画の本格的な審査に入りました。
審査の会合は公開で行われ、東京電力の担当者が、処理水を海水で薄める設備の概要や、海に放出するために新設する「海底トンネル」の設計、設備の安全性や異常時の対応などについて説明しました。
これに対し、原子力規制庁の担当者からは「申請内容に足りない部分があり、根拠を十分示した資料を出してほしい」とか「処理水の海洋放出が廃炉全体の中で福島第一原発のリスク低減にどのような役割を果たすのか、ビジョンを示してほしい」といった指摘が出されました。
次回以降の審査会合では、海水を取り込む設備や、海底トンネルの設計などを先行して議論するということです。
東京電力は、国が決めた方針に従って再来年春ごろから基準以下の濃度に薄めた処理水を海に流したい考えで、規制委員会の認可が得られれば、来年6月ごろから本格的な工事に着手したいとしています。
一方で、地元を中心に風評被害を懸念する声が根強く、東京電力は処理水の放出に向けて関係者の理解をどう得るかが課題となっています。
【NHK】