松江市議会は21日、中国電力の島根原子力発電所2号機の早期再稼働を求める陳情などを賛成多数で採択した。同原発の立地・周辺自治体で、議会が再稼働に同意の意思を示したのは初めて。松江市は再稼働の事前了解権を持っており、上定昭仁市長は市議会の意向を一つの判断材料にするとしている。
松江市議会は21日、島根原発2号機の早期再稼働を求める陳情などを採択した
地元の経済団体などから早期再稼働を求める陳情などが提出されていた。賛成した議員からは「脱炭素社会の実現や安価で安定的な電力供給には原発が必要」「世界で最も厳しいとされる国の新規制基準審査に合格している」「国が認めた避難計画は具体的で合理的」といった意見が出た。
一方「原子力規制委の安全審査に合格しただけでは安全とはいえない」などと再稼働に慎重であるべきだとの声もあった。再稼働に賛成する陳情8件を採択し、市民団体などからの反対の陳情21件は不採択となった。
本会議後に上定市長は「陳情に対する議会の採択がなされた。一つの判断材料として(再稼働の是非を)判断していきたい」と話した。市民団体は再稼働の是非を問う住民投票条例の制定を目指し署名活動をしている。
同じく事前了解権を持つ島根県は同原発から30キロ圏内にある出雲、安来、雲南の3市と意見交換を継続中。30キロ圏内に境港、米子市を抱える鳥取県は事前了解権を求めて中国電力と協議中だ。【日本経済新聞】