関西電力とグループ会社の関西電力送配電は14日、送電線の周りにある樹木を伐採する業務で、2017年2月から今年6月にかけて6件の架空の業務発注があり、地権者への補償費などとして計約1千万円を不正に支出していたと発表した。
関電送配電によると、送電線を周辺の樹木と一定の距離を保つため、地権者の承諾を得たうえで伐採を行っている。架空の業務発注は、いずれも大阪府南部にある特別高圧電線の工事。担当社員2人は実際に必要な工事より伐採の範囲を広くするなど架空の業務を発注し、複数の地権者に補償費を本来より計630万円多く支払っていた。これに伴って、工事を担当するグループ会社にも業務の委託費を371万円余分に支払っていた。
担当者は社内調査に対し、補償費をめぐって地権者との交渉が難航したため、金額を引き上げることで「地権者との今後の関係を考えた」「早く社内処理を進めたかった」などと話しているという。
今年6月に伐採の交渉をしていた別の部門の担当者が処理について不審に思ったことをきっかけに、過去10年分を調査したところ、少なくとも6件が確認されたという。親会社の関西電力のコンプライアンス委員会は今後、原因究明や再発防止策の提言、類似した事例の調査などを行う。【朝日新聞】