東京電力福島第一原発事故を調査している原子力規制委員会は14日、2号機の原子炉格納容器の真上にあるふたの表面付近で、従来の想定を上回る毎時1・2シーベルトの高い放射線量を確認したと発表した。厚さ60センチのふたを隔てた内側に、核燃料が溶けたデブリに匹敵する汚染源があることが原因で、廃炉作業の手順の見直しを迫られる可能性もあるという。
同日開かれた規制委の会合で測定結果を報告した。
ふたは直径約12メートルの円形で、厚さ約60センチの鉄筋コンクリート製。「シールドプラグ」と呼ばれ、炉心からの放射線を遮るために3枚重ねで設置されていた。作業時には取り外して、格納容器内への出入り口となる。上から1枚目と2枚目の間に、事故時に漏れた放射性セシウムが大量に付着しているという。
規制委と東電は今月9日、遠隔ロボットで1枚目のふた表面にある2カ所の穴(深さ7センチ)に線量計を差し込んで放射線量を測定。中央付近の深さ4センチ付近で毎時1・2シーベルトだった。
規制委はふたの内側にある汚染源の線量について、もともと毎時10シーベルト超と推計していた。人が1時間ほど近くにいれば死に至る線量だ。今回の測定結果から、汚染源の実際の線量は数十シーベルトに及ぶとみている。ふたは建屋上部にあり、1枚あたり150トン前後と重く、人も近づけない。解体して取り出すのは簡単ではなく、今後の廃炉作業でどう扱うかも決まっていない。
また、ふたの2枚目と3枚目の間にも放射性セシウムが付着している可能性もあるが、現状では確認する方法がないという。
東電は2022年後半にも、2号機で格納容器側面の穴からロボットアームを入れ、溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しを予定している。ふたについて、東電は「高汚染部があることを前提に工法を検討する」と説明した。【朝日新聞】