九州電力は23日、玄海原発(佐賀県)の耐震設計の前提となる「基準地震動」を見直し、申請書を原子力規制委員会に提出したと発表した。規制委が今年7月、新しい計算方法に基づく地震動の揺れの一部が「従来の想定を上回る」として、変更を求めていた。九電は当初、変更は不要と主張していたが応じた。
九電はこれまで基準地震動を五つ設定していたが、新たに一つ追加する。周辺の活断層や、未知の断層が引き起こす「震源を特定しない地震」の基準地震動を、規制委の改定後の計算方法に基づき算定し、指摘を踏まえた地震動につくり直した。
九電は当初、改定された計算方法に基づいても、地震動の揺れは従来の想定される範囲内に収まるため、変更は必要ないとしていた。しかし、規制委は改定後の揺れの一部が「想定を上回る」と指摘。九電の主張を認めなかった。
変更に伴う追加の耐震工事の必要性について、九電の松本健次・原子力発電本部環境広報グループ長はこの日の記者会見で「現時点で必要ないと考えているが、審査結果を踏まえて検討したい」と話した。
規制委は4月、基準地震動の計算方法を改定し、電力各社に再評価を求めていた。九電からの申請書の提出を受け、今後審査に入る。九電は2024年4月までに主な審査を終える必要があるが、その間の運転は認められている。【朝日新聞】