東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)でテロ対策に不備があった問題で、原子力規制委員会の調査を担当する原子力規制庁の職員は13日、東電本社(東京都千代田区)に立ち入り検査をし、小早川智明社長に事情を聴いた。その結果、社内の情報共有に問題があった可能性が浮かんだ。
規制委が庁舎(港区)に電力会社の首脳を招いて意見交換をすることはあるが、電力会社への立ち入り検査で社長に事情聴取をするのは異例だ。
規制庁の検査チームの職員4人はこの日午後1時20分ごろ、東電本社に入った。柏崎刈羽原発では、テロに備える核セキュリティー対策の規定に違反した場合、社長に報告することになっている。事情聴取では、今回の状況をどのように把握していたかなどを、小早川社長に確認した。さらに、社内の関連文書なども調べた。
この問題を巡っては、東電は9月23日までに原因や再発防止策などをまとめ、規制委に報告することになっている。一方、規制委も独自に調査しており、東電本社への立ち入り検査はその一環という。
立ち入り検査をした規制庁の金子修一チーム長は報道陣の取材に応じ「小早川社長が十分に状況を認識できていなかったか、詳細が伝わっていなかったのではないか」と述べ、情報共有に問題があった可能性があるとの見方を示した。小早川社長が具体的にどのような説明をしたかについては「調査が継続中なので、差し控えたい」と話した。
柏崎刈羽原発では侵入者を検知する機器の故障や、発電所の所員による同僚のIDカードを使っての中央制御室への不正入室など、テロ対策上の問題が相次いだ。こうした事態を受け、規制委は原子炉等規制法に基づき、核燃料の移動を禁止する命令を出した。このため、6、7号機は規制委の安全審査を通過したものの、再稼働が凍結された状態になっている。【毎日新聞】