原子力規制委員会は2日、再稼働を目指す北海道電力の泊(とまり)原発3号機(北海道泊村)の安全審査会合を開き、原発の敷地内にある3本の断層は、いずれも活断層ではないと判断した。3本は活断層の可能性が指摘されていた。活断層の場合、3号機はより厳重な耐震対策が求められることになるが、その必要はなくなった。
国の新規制基準では、活断層について「約12万~13万年前以降に動いた可能性のある断層」と定めている。活断層が原子炉建屋など重要施設の真下にある場合、施設の建設を認めていない。活断層が原発のそばを通っている場合は、耐震対策を大幅に強化しなければならない。
これまでの審査会合で、規制委は「F―1断層」など3号機近くの3本の断層について「活断層であることは否定できない」という認識を示していた。一方、北海道電力は「F―1断層につながる断層の上に堆積(たいせき)した地層には、動いた形跡がない」と指摘。この地層の年代が13万年前より古いことから「F―1断層は活断層ではない」などと主張してきた。
こうした主張を確認するため、規制委の石渡明委員らは2020年9月、泊原発を訪れ、この地層を調べた。そこに含まれていた岩石を顕微鏡などで分析。北海道電力から提出された資料も踏まえて検討した結果、3本とも「断層の活動時期は12万~13万年前より古く、活断層を示す証拠はない」との結論に至った。
石渡委員は2日の審査会合で「3本の断層について、活動性がないという納得できるデータが示された」と述べた。
今後の審査会合の焦点は、原発が建つ積丹(しゃこたん)半島沖にある海底断層に移る。地震や津波といった断層による影響がどの程度あるのかの結論が出るまで、時間がかかるとみられている。【毎日新聞】