関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が再稼働した23日、同原発周辺では市民団体が抗議活動を展開し、地元首長は関電に安全の徹底を求めた。
美浜町内では同日、「美浜3号機うごかすな現地緊急全国集会」が開かれ、全国から約350人(主催者発表)が参加した。同県敦賀市の橋詰喜代枝さん(68)は2004年の美浜原発蒸気噴出事故の時、「絶対安全と言われていたのにだまされた、と父が語っていた」と振り返り、「事故が起きたら逃げるところもない。子どもたちに安全なふるさとを残したい」と訴えた。避難計画対象の30キロ圏内に入る滋賀県からも多数参加し、同県高島市の元出版業、西村修さん(79)は「(運転開始から44年を迎えた)古い原発に強い危機感がある。娘や孫が生きていくためにリスクの高いものは認められない」と声を上げた。
再稼働を受け、地元首長らは見解を示した。福井県の杉本達治知事は「無事に起動(再稼働)できて安堵(あんど)している。関電は安全で安定した運転に努めてほしい。県としてもしっかりと監視を強めていく」と述べた。戸嶋秀樹美浜町長は「あくまでこれは通過点。安全最優先で必要な工程を経てほしい。電力需給の安定と地域経済に寄与すると考える」と話した。関電の森本孝社長は「安全最優先で慎重に作業を進めていく」とのコメントを発表した。
また、原子力規制委員会の更田豊志委員長は23日の定例記者会見で「関電は高浜や大飯など他にも原発を持っている。経験の共有に努め、美浜原発の中で緊張感を持って運転に当たってほしい」と述べた。
【毎日新聞】