原子力規制委員会は9日の定例会合で、原子力施設のテロ対策(核物質防護)に関連する文書の保存期間を、現行の最長5年から10年に延長することを決めた。事務局の原子力規制庁に対しては、10年で一律に廃棄するのではなく、重要度を判断して保存を延長するよう求めた。
規制庁が、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で2015年に起きたIDカードの取り違え問題の報告文書を保管していなかったことを受けての対応。更田豊志委員長が、文書の保存期間の見直しを指示していた。
現行の保存期間は、原子力施設への検査記録が5年、事業者からの報告文書や面談記録は3年だが、テロ対策に関係する文書はいずれも10年に変更した。
柏崎刈羽で起きた問題は、今年5月に発覚。下請け会社の作業員が同じ会社で働く父のIDカードを取り違えて使い、身分証明確認が必要な区域に入った。規制庁は当初、東電からの報告文書を3年で廃棄した可能性があると説明したが、その後当時の保存期間は1年未満だったと訂正した。【東京新聞】