政府は4日、2020年度のエネルギー白書を閣議決定し、日本は蓄電池の本体や原材料の調達力が他国より劣っていると指摘した。太陽光などの再生可能エネルギーは天候により発電量が変化する。蓄電池で電力供給を調整する仕組みが再生エネ拡大に不可欠で、「蓄電池などの安定調達が重要だ」と強調した。
白書は米国、中国、英国、ドイツ、韓国など主要国のエネルギー安定確保を9指標で評価した。
今回新たに分析した蓄電能力の指標で日本はフランスや中国などに次いで4位だった。蓄電池の本体や原材料の調達力は、米、中、英、フランス、ドイツよりも低い評価となった。余った電力で水をくみ上げ、必要な時に使う揚水式の水力発電は多く、蓄電容量の評価は最高だった。
調達力を巡っては製品や原材料の輸入先を多様化できていない。レアメタルのリチウムは調達先がオーストラリアや中国などに限られる。フランスは蓄電池を中国だけでなくポーランドからも輸入し、高い評価につながった。
水素や洋上風力など脱炭素に向けた14分野の技術の特許競争力も分析した。日本は水素や自動車・蓄電池、半導体・情報通信、食料・農林水産の4分野で首位だった。経済産業省は「普及の段階で負けないように支援する必要がある」とする。【日本経済新聞】