日本政府が、福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を国の基準を下回る濃度にして海に放出する方針を決めたことをめぐり、韓国の海洋水産相は、IMO=国際海事機関に国民の憂慮などを伝える書簡を送ったと発表しました。
韓国のムン・ソンヒョク(文成赤赤)海洋水産相は14日、ロンドンに本部があるIMOのトップで韓国人のイム・ギテク(林基澤)事務局長に、日本政府の決定の不当性と韓国国民の憂慮を伝える書簡を送ったと発表しました。
書簡は、日本政府の決定について「最も近い韓国との十分な協議と了解なしに行われた一方的な措置で、周辺国の安全と全人類の共同財産である海洋に相当な危険をもたらすと憂慮する」としています。
また「IMOは、国際社会が受け入れられる方法で処理されるよう、IAEA=国際原子力機関と協力する方策を検討してほしい」としていて、韓国がIAEAの調査団に加わることが必要だという立場を念頭に置いた要望とみられます。
ムン海洋水産相は書簡について「国際社会の関心を喚起できるものと期待される」としています。
処理水の放出をめぐっては、5月5日に開かれた日韓外相会談で、茂木外務大臣が、韓国側に必要な情報提供などを継続していくとしたうえで、韓国側の対外発信の在り方に懸念を示しています。【NHK】