約2年後の海洋放出が決まった東京電力福島第1原発の処理水について、原子力規制委員会は14日、放出に向けて新たに整備される装置の安全審査を公開で開くことを決めた。また、放出した場合、風評が広がらないよう、海水の放射性物質の検査を強化する方針を確認した。
福島第1原発の敷地内のタンクには汚染処理水がたまり続けており、うち7割はトリチウム以外の放射性物質の濃度が、国の放出基準を超えている。東電は放出前に濃度を基準未満にするため、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」のフィルターなどに通した後、技術的に取り除けないトリチウムの濃度を国の基準の40分の1未満になるよう海水で薄める。
放出に当たり、東電はアルプスなど既存の設備を使うものもあるが、配管や排水に異常がないか監視する装置などは新たに整備する。このため、規制委は公開の安全審査で透明性を確保し、排水装置の信頼を高めることにした。装置の整備や審査には2年程度がかかるとみられる。
一方、規制委はこれまでも福島第1原発周辺の海水の検査をしてきたが、国の基準以下になっているか確認するのが目的だった。約2年後に放出される場合、精度を上げたり対象の地域を広げたりして検査を強化する。具体的な検査方法は今後、関係省庁と連携しながら検討していく。【毎日新聞】