東京電力福島第1原発の汚染処理水を、放射性物質の濃度を国の放出基準より下げて海に流すとの日本政府の13日の決定は、英語圏の報道機関も相次いで速報し、関心の高さを示した。報道内容では、放出される水の量を強調したり、地元の反対や周辺国の懸念に触れたりするなど、否定的な受け止めを強調する内容が目立っている。
経済通信社のブルームバーグは「日本が処理済みの放射能水を海洋に投棄」と否定的なトーンの見出しで記事を配信。実施は2年先になることや、処理によって放射性物質の大部分は取り除かれることに触れるとともに、政府の決定に先立って、隣国の中国や韓国が懸念を表明していたことも伝えた。
その上で、決定について「オリンピック・プール500杯分の(汚染処理)水をどう処理すべきかとの長年の議論を決着させるもの」との見方を提示。菅義偉首相が「処理水の廃棄は福島原発の廃炉にとり避けられない問題」だと発言しているとも報じた。
英紙ガーディアン(電子版)は「フクシマ:日本は汚染水を海に投棄すると発表」との記事をウェブサイトに掲載。「破壊された福島原発から流される水の量は100万トン以上になる」と放出量の大きさを見出しや冒頭で強調。「近隣国の怒りを買うことになりそうだ」と指摘した。
また、海洋放出に反対してきた地元漁業者にとって「新たな打撃となるだろう」と伝えた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「フクシマの排水を海洋に流すと日本が発言」との記事で、汚染水の海洋放出は「損傷した炉心の溶融防止に使われた水の処分には最適の方法だと日本政府が指摘している」と伝えた。
しかし、ニューヨーク・タイムズ紙も地元漁業者から「激しい反対」があり、他国政府が懸念を表明していることに言及。今回の決定は、「一般の反対や安全上の心配」のため、長らく延期されてきたが、保管場所が足りなくなりつつあると指摘。菅首相が「避けられない」と12日に発言していたと伝えている。【毎日新聞】