日本原子力発電(原電)の村松衛社長は三十一日、東京都内で開いた記者会見で、東海第二原発(東海村)の運転差し止めを命じた水戸地裁判決について「発電所プラントの安全性は基本的に認めていただいた」と指摘し、地震や津波などに備える事故対策工事は予定通り二〇二二年十二月の完了を目指す考えを示した。 (宮尾幹成)
十八日の地裁判決は、東海第二が新規制基準に適合しているとした原子力規制委員会の判断を追認した上で、半径三十キロ圏内を対象とした広域避難計画などの防災態勢が不十分だとして、圏内に住む原告の人格権侵害を認めた。原電は翌十九日に控訴した。
村松氏は「主張の一部がご理解いただけず誠に遺憾。(控訴審で)原判決を取り消していただけるよう立証に全力を尽くす」とした。
ただ、避難計画策定は国や自治体の責務で、原電は直接の当事者ではない。そのため、控訴審で原電がどのように計画の実効性を立証するかが注目される。
村松氏は、自治体が実施する防災訓練に参加していることなどを説明したが、今後の立証方針に関しては、控訴理由書の準備段階であることを理由に「県、関係市町村、国と連携しながら、事業者としての役割をしっかり果たしていく」と述べるにとどめた。
会見は二一年度の経営基本計画を発表するために開いた。計画には、菅政権が掲げる「二〇五〇年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」に、原発を推進することで貢献することなどが盛り込まれている。【東京新聞】