九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)が、新規制基準に適合すると認めた原子力規制委員会の許可は不当だとして、大学の元教員ら有志が2017年4月に「許可取り消し」を求めた審査請求について、規制委は請求を棄却した。決定は25日付。
請求者は元教員や医師らでつくる「福岡核問題研究会」の有志。17年4月17日に規制委の設置変更許可に関し、審査請求と執行停止を申し立てていた。日本の新規制基準が「世界基準にほど遠いこと」や、重大事故時の住民避難など原子力防災の有効性を審査の対象にしていないことなど8項目を理由に挙げていた。
規制委は3月25日に臨時会を非公開で開き、審査請求について協議した。29日に公表した通知文などによると、原子力防災や新規制基準に対する主張に対し、設置変更許可の審査対象にならないなどとして「主張には理由がない」とした。
設置変更許可の執行停止申し立てについても、同様に「主張には理由がない」として「執行は停止しない」と結論づけた。
「福岡核問題研究会」の豊島耕一佐賀大名誉教授は「重大事故時の住民避難の問題など、形式的な判断に終わっている。住民の安全を配慮する態度が見えず残念」と話した。【佐賀新聞】