東京電力福島第1原発事故で精神的苦痛を受けたとして、事故当時に福島県いわき市民だった1471人が国と東電に計約26億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、福島地裁いわき支部であった。名島亨卓裁判長は国と東電に対し、1431人に計約2億400万円を支払うよう命じた。
国と東電を相手取った集団訴訟の15件目の一審判決で、国の賠償責任を認めたのは8件目。
名島裁判長は、政府機関が2002年に公表した津波地震の発生確率を推定する「長期評価」に基づき、国は09年8月ごろまでに津波を予見できたと認定。日本原電が約1年半で建屋の水密化工事をしたことを引き合いに、規制権限のある国が東電に安全対策を取らせなかったのは違法と判断した。
その上で、いわき市の一部が屋内退避区域に指定された11年3~4月について、「被ばくへの危惧などから市民が事実上避難を強いられた」と指摘。慰謝料として1人当たり22万円を認定し、東電が支払い済みの額を差し引いた賠償を命じた。
原告側弁護団は「国の責任を認めたことは評価できるが、被害への理解が不十分だ」として、控訴する意向を示した。【時事通信】