福井県美浜町の戸嶋秀樹町長は15日、運転開始から40年を超える同町の関西電力美浜原発3号機の再稼働に同意すると、竹仲良広町議会議長に表明した。40年超原発の再稼働については、同町議会のほか、関電高浜原発1、2号機が立地する同県高浜町の野瀬豊町長と同町議会も既に同意しており、今後は県議会と杉本達治知事の判断が焦点となる。
関西電力美浜原発3号機の再稼働に同意したことを竹仲良広議長に報告する戸嶋秀樹美浜町長(右)=福井県美浜町役場で2021年2月15日午前9時30分、大島秀利撮影
戸嶋町長は「町民の理解や議会の同意、国や関電から地域振興などについて前向きな回答を得たことなど、(同意の)要件がすべてそろった」と説明し、「再稼働の賛成派も慎重派も安全性を気にしている。今後もしっかり注視していきたい」と述べた。
戸嶋町長は12日、梶山弘志経済産業相とオンラインで面談。国に求めていた地域振興策などについて、「前向きな回答を得られた」と話し、再稼働に同意する意向を示していた。
美浜3号機は1976年12月に運転を開始。東日本大震災(2011年)に伴う東京電力福島第1原発事故を受け、国は13年7月、原発の運転期間を「原則40年」と定めつつ、基準を満たせば1度に限り最大20年の延長を認めるルールを定めた。美浜3号機は高浜1、2号機とともに、原子力規制委員会の審査をクリアした。
再稼働には、立地する自治体と議会の同意を得るのが通例。県はこれまで、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地提示を再稼働の条件とし、提示されるまでは「議論の入り口に入れない」としていた。しかし、今月12日に関電が同施設の計画地を「23年末までに確定させる」と提案すると、県は態度を軟化させ、再稼働の検討に前向きな姿勢を示した。16日に開会する県議会では、再稼働に向けた議論が進む可能性が出ている。【毎日新聞】