柏崎市で12日夜、東京電力柏崎刈羽原発7号機の審査結果などについて、原子力規制庁による住民説明会があった。担当者は、中央制御室へのID不正入室は、核物質防護に違反するものの、東電の適格性判断にかかわる保安規定には直ちに抵触しないとの認識を示した。住民からはこの件での情報伝達の遅れなどに意見や質問が集中し、規制庁は釈明に追われた。
原子力規制委員会による7号機の一連の審査が終了したことを受け、事務局の規制庁がリモート方式で審査結果とID不正入室について住民に説明した。規制庁の説明会は6、7号機の審査合格を受けて、2018年5月に開いたのに次いで2回目。主催の市が住民への直接の説明を求めていた。
「判断が甘かった」「隠す意図は全くなかった」「規制庁として大変反省している」。規制委へのID不正入室の報告が約4カ月遅れたことについて、規制庁は終始、釈明に追われた。
規制庁は20年9月21日に東電からID不正入室の報告を受けた。しかし、規制委には報告せず、規制委は2日後の同23日に東電の適格性を判断する保安規定を了承。更田豊志委員長にID不正入室を報告したのは、年が明けた21年1月19日だった。
規制庁は東電からの報告後、20年10月に複数回にわたり同原発を立ち入り検査。「当初は核物質防護規定の違反はあるが、その重要度は(4段階評価で1番下の)『緑』と考えていた」といい、第3四半期に報告する事案だと判断していたことを明らかにした。
その後の規制委の評価は(下から2番目の)「白」で、東電から異論もなく、その評価が確定している。どの号機で起きたのかについては「施設に脆弱(ぜいじゃく)性があるとの疑いが晴れるまでは、回答を差し控える」とした。
「東電に適格性はあるのか、ないのか」。原発から5キロ圏の住民は度重なる東電のミスを指摘。「東電の能力が信じられなくなる。我々は安心できない。ここで生活しているんだから」と訴えた。
説明会後、桜井雅浩市長は、規制庁がID不正入室を保安規定ではなく、核物質防護規定の問題だとしたことについて、「(ID問題は)保安規定の一部にも関係する事案だ」と主張。東電の適格性審査を保安規定に反映した7項目の一つ「規制基準の順守にとどまらず、自主的にさらなる安全性向上を実現する」に「抵触するのではないか」と指摘し、改めて規制委に東電の適格性を再評価するよう求めた。【内藤陽】