東京電力が目指す柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)7号機の再稼働が見通せなくなっている。年明け以降、制御室への不正入室問題をはじめ同原発に関する失態が相次いで明るみに出たためだ。地元では東電や規制当局への不信感が高まっており、「年内の再稼働はない」との見方も出ている。
自民新潟県連幹事長「これでチャラだ」
1月29日、新潟市中央区の新潟県議会庁舎。東電新潟本社の橘田(きった)昌哉代表が自民党県連の小野峯生(みねお)幹事長らを非公式に訪ね、柏崎刈羽原発で起きた度重なる失態を謝罪した。再稼働には地元の同意が必要で、8期務める長老県議の小野氏はそのキーパーソンの一人。「年内(の再稼働)だの、ちまたで言われているようなことはチャラだ」。小一時間の会談で、深々と頭を下げる橘田氏に対し、小野氏は怒りをあらわにしたという。終了後、橘田氏は取材に「大変厳しくお叱りを受けた。『対処をきちっとします』とお伝えした」と語った。
発端は1月23日。東電社員が2020年9月20日、柏崎刈羽原発で他の社員のIDカードを使い、原発の中枢である中央制御室に不正入室していたことが報道で明らかになった。東電は原子力規制庁には報告していたものの公表はせず、「核物質防護上の問題」を理由に新潟県や柏崎市などにも伝えていなかった。【毎日新聞】