東京電力福島第1原発事故で、初期被ばくをし精神的損害を受けたなどとして、福島市など福島県の「中通り」地方の住民ら52人が東電に計約9900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は、一審福島地裁判決に続き、52人に計約1190万円を支払うよう命じた。
小林裁判長は、中通りの自主的避難等対象区域の住民らが「一般的想定をはるかに超える放射能に現にさらされた」と認定。東電が被ばくの危険性を的確、具体的に情報提供したとは言えず、事故後2カ月たつまで炉心溶融の事実すら認めなかったと指摘し、「被ばくの恐怖や不安は、合理的な根拠に基づく」と述べた。原告のうち4人については、賠償額を一審より各4万円減額した。
福島市で記者会見した原告団代表の平井ふみ子さん(72)は「望んでいたことがちりばめられた判決。ありがたく大変うれしかった」と話した。
原告団の野村吉太郎弁護士は「中通りの住人の精神的損害に寄り添った判決だ」と評価した。【時事通信】