政府は二十五日、原子力災害対策本部会議(本部長・菅義偉首相)を開き、東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち再び人が住めるように整備する特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域について、未除染でも地元意向に応じて避難指示を解除できる新たな仕組みを決定した。年間積算線量が二〇ミリシーベルト以下に下がり、人が居住しない公園や工業用地などに土地を活用する場合に限る。飯舘村の要望を受けた特例措置。
従来の避難指示解除要件は(1)年間積算線量が二〇ミリシーベルト以下に低下(2)インフラや生活関連サービスの復旧、除染の進展(3)地元との十分な協議-。復興拠点外の土地活用による解除要件は(2)を変更し「土地活用を行う者等によって必要な環境整備が実施されていること」とした。表土のはぎ取りなどの面的除染を要件としないことが大きな変更点だ。
内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チームによると、「土地活用を行う者等」は自治体や事業者を想定し、国は含まれない。「必要な環境整備」は公園や工場、エネルギー関連施設などに活用する際の土地造成と設備設置、被ばく線量低減措置などと規定した。土地造成などの費用負担は、国による財政支援を含めて検討していくという。
土地活用による解除は、住民が日常生活を営むことは想定しないが、往来は自由となる。立ち入る住民の被ばく線量を個人線量計で把握するほか、相談窓口を設置する。
復興拠点を巡っては、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の六町村で居住再開に向け、国費による除染とインフラ整備が進められている。飯舘村は長泥行政区の復興拠点外に村営復興公園を整備し、村内の帰還困難区域を一括解除するよう求めていた。【福島民報】