原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設がある青森県むつ市の宮下宗一郎市長(41)が22日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。電気事業連合会(電事連、東京・大手町)が表明した電力各社による共同利用案について、「共用化ありきの議論はできない」と述べた。
関西電力の森本孝社長は共同利用案に「積極的に参画したい」としているが、宮下市長はこの日、関電の使用済み核燃料を受け入れる余地について「ないです。立地協定に書いていない」と否定した。関電の対応が注目される。
むつ市にある施設は、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が共同出資した「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が運営。2021年度の操業開始を予定している。宮下市長は18日、電事連と経済産業省の幹部と面会し、共同利用案の説明を受けた。
宮下市長はインタビューで、市内の施設について「(使用済み核燃料を)資源として使うから一時的に預かれというもの。核のごみ捨て場のように扱われ、『要らない物だから持って行け』という話ではない」と指摘した。
国とは「共用化ありきの議論はできない」とし、「説明が尽くされても共用化できるという判断になるとは思えない」と話した。電事連や関電とは今後直接面談する考えがない、とも述べた。
関電は、福井県内にある運転40年を超える老朽原発3基の再稼働を予定しており、杉本達治・福井県知事は再稼働を判断する前提として、関電に中間貯蔵施設の県外候補地の提示を求めている。これについて、宮下市長は「全く市に関係のない話。いろんな意味で結びつけたい人たちがいるのでしょう」と話した。
共同利用案に対する市民の反応について、「市内のどこに行っても『なぜ、いきなり』『絶対おかしい』という話をしている」と話し、「地域のステークホルダー(利害関係者)は私ではなく市民。その決定機関は議会。私が『いいよ、受け入れますよ』という話にならない」と強調した。【朝日新聞】