関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の設置許可を取り消した大阪地裁判決を不服として、原子力規制委員会は17日、国側が控訴したと発表した。12月4日の判決は、想定すべき地震の最大の揺れの強さを示す「基準地震動」の算定方法の審査について、「規制委の判断は地震規模の想定で必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」と違法性を認定し、設置許可を取り消した。規制委は16日に「審査は妥当」とする見解をまとめていた。
午後2時半から控訴についての記者会見があり、原子力規制庁の布村希志子長官官房参事官(法務担当)は「判決の内容を慎重に精査し、関係省庁とも協議した結果、裁判所の判断に受け入れがたい点がある」と話した。会見は6分程度で終了した。やりとりは以下の通り。
◆地震動策定「不確かさ考慮し適切」
Q)控訴の理由は。
裁判での争点のうち、国の主張が裁判所に受け入れられなかった点は、耐震設計の基準となる「基準地震動」の策定が設置許可基準規則に適合するとした原子力規制委員会の判断の合理性です。基準地震動の策定にかかる審査においては、不確かさを考慮して適切に策定されていることを、地震学及び地震工学的見地に基づき、総合的な観点から判断しており、本件の審査に過誤、欠落はないものです。以上のことから、規制委の審査の判断過程に看過しがたい過誤、欠落があるとする判決については、到底受け入れがたいため、上級審の判断を仰ぐ必要があるとの結論に至ったものです。以上です。
Q)控訴先と時間は。
大阪地裁に控訴状は提出しました。控訴になりますと今後、大阪高裁で控訴審が始まるということになります。時間は、本日11時ごろです。
Q)控訴理由を述べられたが、主語は国か?
はい。被告は国ですので、国としてということになります。
◆控訴理由の詳細「現時点では控えたい」
Q)控訴理由について、総合的判断というのをもう少し具体的に。
基準地震動の審査の内容にかかわることという風に思われますが、審査についてはこれまで原子力規制委員会やブリーフィングでご説明している通りでございます。本日は、控訴したことのお知らせでありまして、これ以上の詳細については、今後、提出します控訴理由書の中で明らかにしていく予定でありますので、現時点ではお答えすることは差し控えたいと思います。【東京新聞】